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[国民投票/住民投票]情報室は「実施必至型住民投票条例」という呼称を推奨します。
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   更新:2011/02/14
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 [国民投票/住民投票]情報室は、「常設型」住民投票条例という呼称をやめ、実態、そしてあるべき姿をよりはっきりと表した「実施必至型住民投票条例」という呼称を使用することを推奨します。
 
[国民投票/住民投票]情報室は
「実施必至型住民投票条例」という呼称を推奨します。


 2000年12月20日に愛知県高浜市で全国初の常設の住民投票条例が可決されました(01年4月1日施行)。
 案件ごとに住民投票条例を作るのではなく、住民投票を実施するためのルールをあらかじめ定めておき、一定の条件が整えば(例えば一定数以上の請求有資格者の署名が集まれば)自動的に住民投票が実施されるという制度です。あらかじめ作っておき、ずっと設置されている住民投票条例だから「常設型」住民投票条例と呼ばれました。誰が初めてそう呼んだのかは把握していません。

 「常設型」条例が画期的だったのは、一定の条件を満たせば議会が住民投票の実施を拒否できないという点です。
 「常設型」住民投票条例がない自治体の場合、住民投票にかけたい案件ごとに住民投票条例を作ることになります。その場合はもちろん通常の条例制定の手続きを踏むことになるので、首長提案、議員提案あるいは住民による条例制定の直接請求のいずれかによって提案されることになります。いずれの提案方法であっても、議会で住民投票条例案が可決されなければ住民投票は実施されません。
 しかし多くの場合、住民投票の実施が望まれる案件は議会や首長の意見と住民との意見に隔たりができた場合が多く、自分たちの決定が覆されるかもしれない住民投票を議会が望むとは限りません(望んでいれば住民が署名を集めて請求する前に自分たちで住民投票条例を制定しています)。実際、これまで数多くの自治体で住民投票条例の設置案が住民から直接請求されましたが、その8割以上が議会によって否決されています。その中には有権者の6割近くもの署名を集めたにもかかわらず議会に拒否されたという例もあります(57.0% 新潟県小国町)。この議会の意思は、本当に住民の意思を反映していることになるでしょうか。
 あるいは議員数削減や議員報酬、政務調査費の削減などの問題で住民投票の実施が請求された場合、議会はどうするでしょうか。

 住民投票実施の請求に対して議会に実質的な拒否権を与える形になっていることは、現在の地方自治制度上の弱点といえます。
 それを補完する役割を担っているのが各自治体による「常設型」住民投票条例です。住民投票に限っては住民があらかじめ決められた数の署名を集めれば議会の意思と関係なく自動的に実施すると定めることで、住民の意思を確実に自治体運営に反映させようというわけです。

 高浜市以降、決して多くはありませんが、「常設型」住民投票条例を制定する自治体が確実に増えてきています。最近では地方自治体の「憲法」ともいうべき自治基本条例を制定する動きが活発になってきており、その中に住民投票の規定を盛り込むことが多くなっています。
 その意味で「常設型」の住民投票制度の設置は最近の流行ともいえます。
 議会が拒否できない形での住民投票制度の確立を目指す当会としては嬉しい限りですが、しかし手放しで喜んではいられない事態でもあります。

 例えば神奈川県川崎市では自治基本条例の規定に基づき住民投票条例が制定されていますが、住民からの請求の場合は市長に議会との協議を義務づけています。そして議員の3分の2以上の反対で実施を拒否できることになっています。
 あるいは鹿児島県薩摩川内市の自治基本条例には「市民投票」という項目があるものの、市民からの請求によって住民投票が実施される条件が通常の条例の制定請求の条件と何ら変わらないもので、もちろん議会の拒否権もあります(2010年9月14日、実際に住民から直接請求された住民投票条例を否決しています)。
 あるいは東京都三鷹市の自治基本条例は通常の条例制定請求に比べて請求有資格者の範囲を広く取っている(満18歳以上の者で別に定めるもの)だけで、議会の議決が必要であることは通常の条例制定請求と変わりありません。

 このように住民投票実施への実質的な「拒否権」を議会に与える条例が散見されるようになったのです。これらは確かに文字通りの意味(常設されている)では「常設型」かもしれません。しかし本来的な意味としての「常設型」住民投票条例とはいえません。
 つまりこれまでのようにただ「常設型」と表現するのでは、その本質的に必要な条件(一定の署名を集めれば議会の意思に関係なく実施される)を表すことができなくなってきたということです。

 そこで[国民投票/住民投票]情報室では、これまでの「常設型」住民投票条例という表現に換えて、「実施必至型住民投票条例(じっしひっしがたじゅうみんとうひょうじょうれい)」という呼称を使用することを推奨します。
 常設の住民投票条例の価値はただ「常設」されているところにあるわけではありません。一定以上の住民が「自分たちの意思を確認しろ」という意思を表明した時にそれが議会や首長の意思に関係なく必ず実施に至る制度であることが重要なのです。「実施必至型住民投票条例」という名称には、そういった本質的な意味をはっきりと込めました。

 皆様、特に官公庁、報道関係者、研究者にあっては是非この趣旨をご理解の上、これからは「常設型」に換えて「実施必至型」を御使用下さいますようお願い致します。




 
 
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