トピックス
スイス国民投票・現地レポート1
>>ホームへ
   更新:2013/11/21
 トピックス
 
2013年11月24日、スイスで3つのテーマでの国民投票が実施されます。
この国民投票について、ドイツ在住のジャーナリストの大芝健太郎さんからの現地レポートを掲載いたします。

スイス国民投票・現地レポート1
大芝健太郎(ジャーナリスト)

 僕の住むハイデルベルクから6時間電車に揺られて、スイス第二の都市ジュネーブにやってきた。ジュネーブはスイスの西の端に位置する国連の欧州本部があることなどで有名な都市である。

●ジュネーブ旧市街


 スイスの面積は九州より少し小さいくらいの大きさでそこに約800万人が住んでいる。公用語がドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語とあり、バイリンガルも珍しくない。ヨーロッパの中心にありながらEUに加盟せず、永世中立国として徴兵制を維持している。自国内の言語や文化の多様性は積極的に保護をする一方、犯罪歴のある外国人の国外退去を求める排外的な一面もある。さながらヨーロッパの陸の孤島のように、独自の道を貫いているように見えるスイスのこういった政策は、国民の直接投票によって決められているのだ。 そういった理由から民主主義の手本と呼ばれるスイス。年に4回、国民投票が行われ、州、地方自治体レベルでも重要な案件に関しては住民投票も行われる。

 さて、この度11月24日に行われる今年最後の国民投票のテーマはすべて「お金」に関するものだ。設問は以下3つ。

  1. イニシアチブ「1:12 公平な賃金のため」に賛成ですか。
  2. イニシアチブ「家族のためのイニシアチブ:自分で子守りする親のためにも税額控除を」に賛成ですか。
  3. 国道の使用料に関する連邦法の3月22日の改正に賛成ですか。(ヴィニエットと呼ばれる高速道路利用ステッカー)

●投票用紙


解説

 スイスでは一つの案件に関して、18ヶ月以内に10万人以上の署名が集まれば、その案件に関して国民投票にかけることができる。スイスの有権者は推定510万人であるから、約2%の署名を集めれば、国民投票にかけることができるのだ。これを国民発議による国民投票と呼ぶ(イニシアチブ)。また連邦法などの成立に際して、失効を求める5万人の署名が3ヶ月以内に集まると国民拒否による国民投票にかけられる。詳しくはこちら→「国民投票の諸形式及びスイスにおける制度・ルール

  1. 会社内の最低賃金と最高賃金の格差を1:12までにするという国民発議。
    この目的は、経営陣や役員の法外な給料を減らし、同時に安い給料を引き上げるということ。問題点としてあげられているのは、高額報酬者からの税収が減り、財政に問題が出るということ。
  2. 託児施設に子どもを預ける必要のない家庭は、その分、州政府に財政負担をかけていないことに加えて、託児費用控除も請求できないため、税金を余計に払っているというのだ。しかし、共働きを目指す家庭に水をさし、税収の減少にもつながる。
  3. 今まで40フラン(約4400円)であったヴィニエットと呼ばれる高速道路利用ステッカーが100フラン(約11000円)に値上げされるという連邦法案。これに国民拒否の請求があり国民投票にかけられることになった。もし通れば、新しい道路建設、迂回路、騒音や、雪崩対策などに使われる予定だ。一方反対派は「これは隠れた増税に過ぎない。問題は解決されない。」と反発している。

第2回>>

筆者プロフィール
大芝 健太郎(フリージャーナリスト)
ドイツを中心にヨーロッパの国民投票、住民投票、脱原発運動を取材中。
リトアニア、ブルガリアの「原発」国民投票レポートなどを執筆。
月刊「社会運動」 雑誌「NOU LIFE STYLE」他

 
 
©2006- Direct Democracy Information Center All Rights Reserved.
Powered by 文系企画