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スイス国民投票・現地レポート2
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   更新:2013/11/24
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2013年11月24日、スイスで3つのテーマでの国民投票が実施されます。
この国民投票について、ドイツ在住のジャーナリストの大芝健太郎さんからの現地レポートを掲載いたします。

スイス国民投票・現地レポート2
大芝健太郎(ジャーナリスト)

 今回行われる国民投票の3つのテーマのうち、圧倒的に注目されているのが「1:12 公平な賃金のため」だ。実は今年3月には同じようなテーマである「高額報酬制度反対イニシアチブ」が安定多数の68%で可決し、株主総会を通さなければ、企業役員などの報酬や退職金などを決められないということが決まったばかりだが、今回はさらに踏み込んだ内容になっている。

 有権者に配られる資料集によれば、1984年の会社内の最低賃金と最高賃金の給料格差を平均すると1:6であったが、1998年には1:13になり、2011年には1:43までに広がっている。そしてニュース等で取り上げられているのが2つの事実である。一つ目がスイスの有名な製薬会社ノバルティスの元会長が退職金として7200万フラン(約79億円)を受け取ることが発覚したこと。参考までにノバルティスの最低年収の約1200倍を退職金としてもらうことになる計算だ。そして2つ目がスイス最大の銀行のUBS銀行は250万フランの赤字で、公的資金(税金)による救済を受けたにもかかわらず、同時期に2600万フランがCEO就任補償金として支払われているということ。これは平均的なスイス人が385年間働かなければならない金額である。このような給料格差が広がり続けることを防ぐために社会民主党の青年部が立ち上がり、今回の国民発議が成立した。

●イニシアチブ「1:12」に関してのスイスの5大政党の立場も明確に示されている。
スイス国民党は反対。社会民主党は賛成。自民党は反対。キリスト教民主人民党は反対。緑の党は賛成。


※有権者に配られる資料集
投票用紙と共に国民投票にかけられるテーマについて政府の見解や、発案者の意見やデータなど40ページを越える冊子が各有権者一人ひとりに郵便で届けられる。これらはインターネット上でもダウンロードすることができ、公用語の4種類の言語から選ぶことができる。その他にも小冊子がついてくる。テーマ毎に政党、団体などの賛成や反対の立場を明確に表されている冊子。投票所での投票方法、禁止事項、郵便や、インターネットでの投票方法などが書かれている冊子。さらに、州や都市の案件についての住民投票も同時に開催されるようであれば、それについての資料も同封される。例えば、ジュネーブ市では国民投票と同時に「公園の開発について」の住民投票があるため、その資料も同封されている。これらを参考にスイス人は国民投票に臨む。

●最新の世論調査によれば賛成派は35%~40%くらいで否決されるのではないかと予想されている。


●街中に政党や団体などによるポスターなどが貼り出されていた。

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筆者プロフィール
大芝 健太郎(フリージャーナリスト)
ドイツを中心にヨーロッパの国民投票、住民投票、脱原発運動を取材中。
リトアニア、ブルガリアの「原発」国民投票レポートなどを執筆。
月刊「社会運動」 雑誌「NOU LIFE STYLE」他

 
 
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