大人×子ども
  18歳成人改革の論点
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   更新:2008/09/25
 大人×子ども 18歳成人改革の論点
南部義典
18歳はもう大人?まだ子ども?――成人年齢を引き下げるべきかどうか、政府の検討が本格的に始まりました。早ければ、2009年秋の臨時国会に関連法案が提出される予定です。
18歳を法的に「一人前」と扱うことで、社会にどのような影響が現れるのか、どんな未来が切り拓かれていくのか、全12回にわたって多角的に検証していきます。
第1回  18歳成人改革の始まり(2008/08/15UP)
第2回  「成人」と「成年」(2008/09/05UP)
第3回  308本の法令リスト(2008/09/25UP)
第4回  法制審議会の動向 -その1-(2008/12/15UP)
第5回  「中間報告」をどう読む?(2008/12/30UP)
第6回  18歳国民年金加入論(2008/12/30UP)
第7回  酒、タバコ、ギャンブルをめぐって(2009/1/15UP)
第8回  成人の日と成人式(2009/1/15UP)
第9回  刑罰か教育か?少年法改正の是非
第10回  児童福祉の観点から
第11回  法制審議会の動向 -その2-
第12回  世論の反応、改革の行方


第3回 308本の法令リスト

3-1.前回のあらすじ

 前回は、成人と成年の概念の違いについて説明しました。憲法、民法など、法の分野では一般に後者が使われており、いま引下げが検討されているのは、正確には「成年年齢」であることを押さえておきましょう。
 また、成年に至らない者は未成年ですが、これとよく似た児童、少年、年少者という用語が、他の法律で使用されています。成年年齢の見直しはこれらの概念にも影響することに注意を要します。
 今回のテーマは、308本の法令リスト。実際、どのような法令が検討の対象になっているのかを概観します。

3-2.検討委員会の立ち上げ

 憲法改正の手続きを定める国民投票法が成立したことを受け、内閣官房に「年齢条項の見直しに関する検討委員会」(以下、検討委員会)が設置されました(2007年5月17日に初会合)。
 国民投票法附則3条で「国は、この法律が施行されるまでの間に、年齢満18年以上満20年未満の者が国政選挙に参加することができることとなるよう、選挙権を有する者の年齢を定める公職選挙法、成年年齢を定める民法その他の法令の規定について検討を加え、必要な法制上の措置を講ずるものとする」と定めたことを受けたものです。

 検討委員会は、「年齢条項」の見直しとなっており、成年年齢ないし成人年齢の見直しということにはなっていません。
 冒頭にも書きましたが、成年年齢の見直しは、児童、少年、年少者といった概念、さらには18歳、16歳、15歳といった、特定の年齢を定めた条項に影響します。例えば、中型運転免許の取得可能年齢を20歳から18歳に引き下げた場合、普通免許も2歳引き下がり16歳となるのか、あるいは民法の成年年齢を18歳に引き下げる場合には、天皇、皇族の成年年齢も現行の18歳から16歳に引き下げられるのか(皇室典範22条)という点などが問題になります。

 第2回検討委員会会合(2007年11月1日)において、見直しの検討となる対象法令(法律、政令、内閣府令、省令)が308本に及ぶことが確認されています。(※9)

3-3.法令リスト

 検討委員会が示した、308本の法令リストをご覧ください。

表4:各府省別検討対象法令


出典:第2回年齢条項の見直しに関する検討委員会 配布資料1(2007年11月1日)

表5:各府省別検討対象法令リスト

府省名種類番号法令名
内閣官房法律(1)1構造改革特別区域法
内閣府法律(5)1配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律
  2特定非営利活動促進法
  3競争の導入による公共サービスの改革に関する法律
  4沖縄の復帰に伴う特別措置に関する法律
  5障害者基本法
 政令(2)1公益通報者保護法別表第八号の法律を定める政令
  2個人情報の保護に関する法律施行令
総務省法律(19)1恩給法
  2恩給法等の一部を改正する法律(昭和41年法律第121号)
  3恩給法等の一部を改正する法律(昭和51年法律第51号)
  4恩給法等の一部を改正する法律(昭和53年法律第37号)
  5恩給法の一部を改正する法律(昭和28年法律第155号)
  6恩給法の一部を改正する法律(昭和36年法律第139号)
  7簡易生命保険法
  8公職選挙法
  9最高裁判所裁判官国民審査法
  10市町村の合併の特例等に関する法律
  11地方公務員等共済組合法
  12地方自治法
  13地方税法
  14統計法(昭和22年法律第18号) ※統計法(平成19年法律第53号)により削除
  15地方公務員等共済組合法等の一部を改正する法律
  16引揚者等に対する特別交付金の支給に関する法律
  17行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律
  18独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律
  19行政書士法
 政令(7)1恩給給与規則
  2公職選挙法施行令
  3地方公務員等共済組合法施行令
  4地方自治法施行令
  5地方公務員等共済組合等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令
  6日本国及びアメリカ合衆国の両国において就労する者等に係る地方公務員等共済組合等の特例に関する政令
  7市町村の合併の特例等に関する法律施行令
 府省令(3)1恩給法等の一部を改正する法律附則第13条の規定により給すべき特例傷病恩給の請求手続に関する省令
  2地方税法施行規則
  3地方公務員等共済組合法施行規程
法務省法律(36)1外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法
  2刑事収容施設及び被収容者等の処遇に関する法律
  3刑事訴訟法
  4刑法
  5公証人法
  6更生保護事業法
  7更生保護法
  8国際受刑者移送法
  9国際捜査共助等に関する法律
  10債権管理回収業に関する特別措置法
  11少年院法
  12少年法
  13人権擁護委員法
  14売春防止法
  15犯罪者予防更生法
  16弁護士法
  17保護司法
  18会社法
  19戸籍法
  20後見登記等に関する法律
  21国籍法
  22裁判外紛争解決の利用の促進に関する法律
  23司法書士法
  24児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律
  25商法
  26商法施行法
  27信託法
  28人事訴訟法
  29性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律
  30土地家屋調査士法
  31任意後見契約に関する法律
  32民事訴訟法
  33民法
  34民法施行法
  35裁判員の参加する刑事裁判に関する法律
  36検察審査会法
 政令(3)1後見登記等に関する政令
  2民事再生法第241条第3項の額を定める政令
  3登記手数料令
 府省令(6)1仮釈放、仮出場及び仮退院並びに保護観察等に関する規則
  2戸籍法施行規則
  3指定公証人の行う電磁的記録に関する事務に関する省令
  4出入国管理及び難民認定法施行規則
  5出入国管理及び難民認定法第7条第1項第2号の基準を定める政令
  6後見登記等に関する省令
外務省法律(1)1旅券法
 府省令(1)1旅券法施行規則
財務省法律(11)1国税徴収法
  2国税犯則取締法
  3国家公務員共済組合法
  4国家公務員等共済組合法の一部を改正する法律
  5税理士法
  6相続税法
  7租税特別措置法
  8たばこ事業法
  9塩事業法
  10関税法
  11通関業法
 政令(3)1国家公務員共済組合法施行令
  2国家公務員等共済組合法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令
  3日本国及びアメリカ合衆国の両国において就労する者等に係る国家公務員等共済組合等の特例に関する政令
 府省令(5)1たばこ事業法施行規則
  2塩事業法施行規則
  3相続税法施行規則
  4通関業法施行規則
  5関税定率法施行規則
文部科学省法律(12)1技術士法
  2宗教法人法
  3著作権等管理事業法
  4核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律
  5学校教育法
  6義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律
  7教育職員免許法
  8地方教育行政の組織及び運営に関する法律
  9特別支援学校の幼稚部及び高等部における学校給食に関する法律
  10特別支援学校への就学奨励に関する法律
  11独立行政法人日本スポーツ振興センター法
  12放射性同位元素等による放射線障害の防止に関する法律
 政令(4)1独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令
  2私立学校教職員共済組合法施行令等の一部を改正する等の政令
  3地方教育行政の組織及び運営に関する法律施行令
  4日本国及びアメリカ合衆国の両国において就労する者等に係る私立学校教職員共済法の特例に関する政令
 府省令(3)1学校保健法施行規則
  2義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律施行規則
  3技術士法施行規則
厚生労働省法律(34)1あへん法
  2建設労働者の雇用の改善等に関する法律
  3厚生年金保険法
  4港湾労働法
  5作業環境測定法
  6児童福祉法
  7社会福祉法
  8社会保険労務士法
  9社会保障協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律
  10社会保障に関する日本国とアメリカ合衆国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律
  11社会保障に関する日本国とカナダとの間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律
  12社会保障に関する日本国とグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律
  13社会保障に関する日本国とドイツ連邦共和国との間の協定の実施に伴う厚生年金保険法等の特例等に関する法律
  14大麻取締法
  15母子及び寡婦福祉法
  16民生委員法
  17労働安全衛生法
  18労働基準法
  19医師法
  20厚生年金保険法等の一部を改正する法律
  21国民年金法
  22国民年金法等の一部を改正する法律(平成元年法律第86号)
  23国民年金法等の一部を改正する法律(平成6年法律第95号)
  24国民年金法等の一部を改正する法律(昭和60年法律第34号)
  25国民年金法の一部を改正する法律(昭和41年法律第92号)
  26国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律(昭和38年法律第150号)
  27国民年金法及び児童扶養手当法の一部を改正する法律(昭和39年法律第87号)
  28国民年金法等の一部を改正する法律(昭和40年法律第93号)
  29歯科医師法
  30職業安定法
  31中小企業退職金共済法
  32難民の地位に関する条約等への加入に伴う出入国管理令その他関係法律の整備に関する法律
  33薬剤師法
  34労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律
 政令(15)1児童福祉法施行令
  2社会福祉法施行令
  3障害者自立支援法施行令
  4労働組合法施行令
  5厚生年金保険制度及び農林漁業団体職員共済組合制度の統合を図るための農業漁業団体職員共済組合法等を廃止する等の法律の施行に伴う移行農林共済年金等に関する経過措置に関する政令
  6厚生年金保険法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令
  7国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(昭和61年政令第54号)
  8国民年金法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置に関する政令(平成6年政令第348号)
  9日本国及びアメリカ合衆国の両国において就労する者等に係る健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、国民年金法及び厚生年金保険法の特例に関する政令
  10日本国及びグレート・ブリテン及び北部アイルランド連合王国の両国において就労する者等に係る国民年金法及び厚生年金保険法の特例に関する政令
  11日本国及びドイツ連邦共和国の両国において就労する者等に係る国民年金法及び厚生年金保険法の特例に関する政令
  12日本国及びフランス共和国の両国において就労する者等に係る健康保険法、船員保険法、国民健康保険法、国民年金法及び厚生年金保険法の特例に関する政令
  13日本国及びベルギー王国の両国において就労する者等に係る健康保険法、国民健康保険法、国民年金法及び厚生年金保険法の特例に関する政令
  14日本国及び大韓民国の両国において就労する者等に係る国民年金法及び厚生年金保険法の特例に関する政令
  15母子及び寡婦福祉法施行令
 府省令(17)1検疫法施行規則
  2建設労働者の雇用の改善等に関する法律施行規則
  3高気圧作業安全衛生規則
  4港湾労働法施行規則
  5雇用対策法施行規則
  6雇用保険法施行規則
  7作業環境測定法施行規則
  8児童福祉法施行規則
  9障害者自立支援法施行規則
  10職業安定法施行規則
  11労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律施行規則
  12厚生年金保険法施行規則
  13厚生年金保険法施行規則の一部を改正する省令
  14国民年金法施行規則
  15里親が行う養育に関する最低基準
  16労働安全コンサルタント及び労働安全コンサルタント規則
  17感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律施行規則
農林水産省法律(5)1漁業法
  2競馬法
  3農業委員会等に関する法律
  4遊漁船業の適正化に関する法律
  5獣医師法
 政令(2)1農業委員会等に関する法律施行令
  2土地改良法施行令
 府省令(1)1遊漁船業の適正化に関する法律施行規則
経済産業省法律(14)1アルコール事業法
  2意匠法
  3工業所有権に関する手続等の特例に関する法律
  4使用済自動車の再資源化等に関する法律
  5自転車競技法
  6実用新案法
  7商工会議所法
  8商工会法
  9商標法
  10商品取引所法
  11小型自動車競走法
  12特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律
  13特許法
  14弁理士法
 政令(2)1使用済自動車の再資源化等に関する法律施行令
  2特定家庭用機器再商品化法施行令
 省令(8)1アルコール事業法施行規則
  2小型自動車競走審判員、選手および小型自動車登録規則
  3特定家庭用機器再商品化法施行規則
  4特定商取引法施行規則
  5競輪審判員、選手および自転車登録規制
  6使用済指定再資源化製品の自主回収及び再資源化の認定に関する省令
  7使用済自動車の再資源化等に関する法律施行規則
  8中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則
国土交通省法律(28)1海事代理士法
  2貨物自動車運送事業法
  3建設業法
  4建築基準法
  5建築士法
  6高齢者の居住の安定確保に関する法律
  7港湾運送事業法
  8小型船造船業法
  9国際観光ホテル整備法
  10自動車ターミナル法
  11船員の雇用の促進に関する特別措置法
  12船員法
  13船舶職員及び小型船舶操縦者法
  14測量法
  15宅地建物取引業法
  16鉄道事業法
  17道路運送車両法
  18特定外貿埠頭の管理運営に関する法律
  19土地区画整理法
  20住宅の品質確保の促進等に関する法律
  21不動産特定共同事業法
  22マンションの管理の適正化の推進に関する法律
  23水先法
  24モーターボート競走法
  25旅行業法
  26建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律
  27船員職業安定法
  28道路運送法
 府省令(21)1解体工事業に係る登録等に関する省令
  2建設業法施行規則
  3建築基準法施行規則
  4建築士法施行規則
  5浄化槽工事業に係る登録等に関する省令
  6船員職業安定法施行規則
  7船員法施行規則
  8船舶職員及び小型船舶操縦者法施行規則
  9宅地建物取引業法施行規則
  10都市計画法施行規則
  11不動産特定共同事業法施行規則
  12ボート、モーター、選手、審判員及び検査員登録規則
  13マンションの管理の適正化の推進に関する法律施行規則
  14旅行業法施行規則
  15海上運送法施行規則
  16建築基準法に基づく指定資格検定機関等に関する省令
  17自動車登録番号標交付代行者規則
  18住宅の品質確保の促進等に関する法律施行規則
  19船舶料理士に関する省令
  20道路運送車両法施行規則
  21内航海運業法施行規則
環境省法律(7)1化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律
  2自然公園法
  3浄化槽法
  4鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律
  5動物の愛護及び管理に関する法律
  6特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律
  7廃棄物の処理及び清掃に関する法律
 政令(1)1容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律施行令
 府省令(5)1環境省関係浄化槽法施行規則
  2廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行規則
  3廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令の一部を改正する政令附則第2条第3項の規定する届出に関する省令
  4廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令及び海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律施行令の一部を改正する政令附則第2条第2項の規定による届出に関する省令
  5容器包装に係る分別収集及び再商品化の促進等に関する法律施行規則
防衛省政令(1)1自衛隊法施行令
宮内庁法律(1)1皇室典範
警察庁法律(11)1警備業法
  2古物営業法
  3質屋営業法
  4自動車運転代行業の業務の適正化に関する法律
  5銃砲刀剣類所持等取締法
  6探偵業の業務の適正化に関する法律
  7道路交通法
  8風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律
  9未成年者飲酒禁止法
  10未成年者喫煙禁止法
  11暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律
 府省令(5)1警備業法施行規則
  2銃砲刀剣類所持等取締法施行規則
  3探偵業の業務の適正化に関する法律施行規則
  4道路交通法施行規則
  5風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律に基づく許可申請書の添付書類等に関する内閣府令
金融庁法律(5)1貸金業の規制等に関する法律
  2金融商品取引法
  3公認会計士法
  4船主相互保険組合法
  5保険業法
 府省令(1)1貸金業の規制等に関する法律施行規則
公調委法律(1)1鉱業等に係る土地利用の調整手続等に関する法律
 府省令(1)1公害紛争の処理手続等に関する規則

 表に示されている法令名は、2007年11月現在のものであり、その後の法令の制定、改廃によって変動がありえます。

3-4.法令の分類

 法令の多くは、民法の定める成年、未成年の概念を借用しています。例えば、競馬法28条は「未成年者は、勝馬投票券を購入し、又は譲り受けてはならない」と定めています。民法成年年齢の改正に連動して、馬券購入可能年齢が変わることになります。このような法令のことを、民法連動型と呼ぶこととします。

 民法以外の法律に連動するものもあります。最高裁判所裁判官国民審査法、裁判員の参加する刑事裁判に関する法律は、その資格要件が公職選挙法9条1項の定める選挙人団を構成する者となっています(日本国民で年齢満20年以上の者は、衆議院議員及び参議院議員の選挙権を有する)。審査員、裁判員の年齢要件は、公職選挙法に連動する、言わば、公選法連動型です。

 法令の中には、成年、未成年という概念を用いず、独自に具体的な年齢を示した条項を有するものもあります。よく引き合いに出される、未成年者飲酒禁止法、未成年者喫煙防止法はともに、満20歳以下の行為を禁止しています。また、国民年金法7条1項1号は、被保険者資格として20歳以上60歳未満の者と定めていますが、これらは年齢を○○歳、○○年と直接定めているため、民法改正の影響を受けないことは明らかで、民法とは別に、法改正が必要になります。このような法令のことを独立規定型と呼ぶこととします。

3-5.検討委員会の今後

 国民投票法附則3条が、国民投票法が施行される2010年5月18日までの間に、「必要な法制上の措置」を行うことを国に求めています。検討委員会は、2009年臨時国会又は2010年通常国会の法案提出を目標に検討を進めています。

 この場合の措置がどのように行われるかは、現在のところ確定していません。それぞれの法律によって、趣旨、目的が異なりますので、形式一律の見直しを進めることはおろか、法案を一括りに審議することは困難と思われます。(※10)

 法令の多くが、民法従属型であるため、年齢条項の見直し≒民法成年年齢の見直しという関係にあります。民法改正の影響がそれだけ、年齢条項全体に与える影響が大きいのです。
 現在の議論の軸足は検討委員会ではなく、民法成年年齢の見直しを検討している法制審議会(法務大臣の諮問機関)に移ってきています。法制審議会での方向性が固まるのをまって、他の府省も議論を整え(足並みを揃え)ようとしています。
 次回は、法制審議会のこれまでの議論について検証します。

 注
(※9) ここでは法律の所管事項が他の法形式に委任され、政令(内閣が制定する命令)、内閣府令(内閣総理大臣が制定する命令)、省令(各省大臣が制定する命令)と、法律という形式を採らないものを含みます。国民を法的に拘束する点では、法律と変わりません。
(※10) 国民投票法案の審査が行われた、参議院日本国憲法に関する調査特別委員会(2007年4月19日)における船田元・併合修正案提出者の答弁を参照。


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筆者プロフィール
南部 義典(なんぶ よしのり)
1971年岐阜県生まれ。1995年京都大学文学部哲学科卒業。同年9月、国会議員政策担当秘書資格試験に合格。
山花郁夫・衆議院憲法調査会幹事(当時)の政策秘書として、立法政策に携わる(〜現在)。2007年4月より、大宮法科大学院大学に在学中(〜現在)。
国民投票法案に関し、民主党案の論点整理をまとめ(2005年4月)、衆議院憲法調査特別委員会・第2回中央公聴会(2007年4月)、参議院憲法調査特別委員会・さいたま地方公聴会(同年5月)の二度にわたり、公述人として発言した。

当サイト内連載・寄稿
国民投票法本則施行までの「3つの宿題」の早期審議を求める声明(2008年7月21日)
立憲主義の発展に資する国民的議論を(2007年10月28日)
イヤでもわかる!国民投票法案(2006年12月〜2007年3月)

著書
Q&A解説・憲法改正国民投票法』(2007年7月、現代人文社) (日本初の同法解説書)

外部リンク
南部義典の国民投票つれづれBlog (筆者のブログ)

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