こんにちは。これから全11回にわたって、『イヤでもわかる!「国民投票法」講座』(※)を担当させていただきます。よろしくお願いします。 国民投票法案は、国民投票を中核とする憲法改正手続きを具体的に定めています。憲法改正案が国会で発議されるまでの議事手続きを定める、国会法の改正規定をも含んでいます。 今回は「国民投票法案のこれまで」と題し、法案提出からの経過を簡単に振り返ります。
2.与党案と民主党案
2006年5月26日、国民投票法案の与党案と民主党案が、それぞれ衆議院に提出されました(提出者名は右図参照)。 両法案は、条文内容の9割が一致していますが、(1)国民投票の対象、(2)投票権年齢の設定、(3)買収・利害誘導罪規定の是非、(4)国民投票における「過半数」の意義、(5)投票用紙への賛否の記載方法など、一致していない論点があります。 ところで、憲法上、法律案は「出席議員の過半数」で決することとされています。与党は数の上で野党を上回っているわけですから、通常の法律案と同様、与党の単独過半数によって「与党案」を成立させることができるはずです。 しかし、国会の現場では、国民投票法案は与野党対決法案とは位置づけられておらず、そうした動きはありません。 憲法改正に賛成または反対という立場に固執せず、時間をかけて幅広い合意をめざすことを前提に、憲法改正に有利にも不利にも働かない"公正・中立なルールづくり"を行っていくという与野党間の強い信頼関係の下、粘り強く議論が続けられています。国民投票法案は、与野党合意形成型の法案です。 「会期を延長しない」との前首相の公言通り、6月18日に通常国会は閉会となりました。両法案は、継続審議となりました。
3.国会の状況
9月26日、臨時国会が召集されました。現在、衆議院憲法調査特別委員会(中山太郎委員長)において、原則週1回(木曜定例)のペースで両法案の審査が行われています。 10月26日には、両法案の提出者に対する質疑と答弁が、NHKで生中継されました。 11月2日、特別委員会の下に、法案審査を専属的に取扱う法案審査小委員会(近藤基彦小委員長)が設けられました。小委員会の開会ごとに論点(テーマ)が設定され、それに関する参考人からの意見聴取、懇談、自由討議が行われています。 委員会というオープンな場での議論を通じて、与党案と民主党案はいくつかの論点で合意に近づきました。また、両法案提出時、すでに一致を見ていた論点(条文上の文言)についても、積極的な修正が検討されつつあり、相当な成果を上げています。 なお、参議院には憲法調査特別委員会は未だ設置されていません。
4.両法案のこれから
今後は、法案の共同修正と共同提案(与野党の議員が一つの法律案の共同提案者となります)に向けた、合意形成の一層の努力が重ねられることになります。 この講座の連載をしている間にも、共同提案に向けた動きが加速することは間違いありません。最終的に、法案が参議院で可決、成立するのは、2007年の通常国会以降ということになります。