今回は、「有権者に届くパンフレット=vと題し、国民投票公報を扱います。 パンフレットというと、政党が作成する選挙マニフェストのような、十数頁カラー刷りの冊子をイメージされるかもしれませんが、実際、各家庭に届く国民投票公報は白黒で、素っ気ない内容になるのではないかと想像しています。 公報は、国会に置かれる国民投票広報協議会(衆参両院10名ずつの委員で構成され、憲法改正案の周知・広報を担います)が作成します。 本テーマにおいては、与党案と民主党案との間に立場の相違はありません。
2.公報のイメージ
「百聞は一見に如かず」ということで、公報のイメージ(私案)をご覧いただきましょう。便宜上、チラシ一枚(表裏)で構成しています。 甲案、乙案、丙案という三つの憲法改正案が発議されたとします。 図(クリックすると大きく表示されます)
ポイント(1) 公報の配布日 公報は、国民投票期日の10日前までに、投票人名簿に登録された者の属する世帯に配布されます(※1)。 ポイント(2) 公報に掲載される内容 法案では、(ア)憲法改正案、(イ)その要旨、(ウ)新旧対照表その他参考となるべき事項、(エ)憲法改正案を発議するに当たって出された賛成意見及び反対意見を、公報に掲載することとされています。 (ア)(イ)(ウ)は、国民投票広報協議会事務局が客観的かつ中立的な立場で内容を記します。記載に際し、裁量が働くテーマ、内容は含まれません。 (エ)は政党が責任編集する項目とされます。 「四.国会における経過」は、客観情報として(私が勝手に)書いていますが、例えば、誰が発議者で、どういう審査(議決)が行われて、[賛成/反対/棄権]の議員数は何人だったかとか、そういう内容です。 ポイント(3) 賛否対等のスペース 与党案・民主党案ともに、賛成意見と反対意見とは公正かつ平等に扱われるということになっています。 賛成意見と反対意見には同量のスペースが与えられます。<1>と<2>、<3>と<4>はそれぞれ同じ寸法です。 ポイント(4) 政党(会派)ごとの割当て 甲案と乙案で、賛成政党、反対政党が入れ替わっています(ありうる話です)。 賛成意見、反対意見のスペースはそれぞれ、当該政党間で協議の上、割当てを決することになります。議席数に比例させるか、均等割にするか、もっと柔軟な割当てにするかを、政党間で自由に決定できます。 「丙案について、賛成意見と反対意見の欄がないじゃないか?!」と思われたかもしれません。 丙案は、全会一致で発議されたものと想定してみました。この場合は、国民投票広報協議会事務局が作成する客観・中立情報だけで足りると考えられています。
3.国民投票マニフェスト
政党は憲法改正発議に賛成した理由を明確にするだけでなく(※2)、憲法改正案が国民投票で承認されたらどうなるか、承認されなかったらどうなるか、ということを事前に政治的約束として明示すべきとの提案があります。いわゆる国民投票マニフェストです。 これは、日本国憲法の条文が変わる・変わらないというレベルにとどまらず、具体的な政策の遂行(変更)によって、国のかたちがどうなるのかを、国民投票の判断材料として提供すべきではないかというわけです。憲法の内容面をより重視した考え方です。 条文が変わったら、変わらなかったら世の中はこうなるということの主張責任は、発議に賛成した政党(会派)にあります。公報の「賛成意見」の中にマニフェストを盛り込むことは可能でしょうが、その個別・具体的な内容が、賛成した政党間でバラバラであっても困ります。 この点、憲法改正原案が審査される段階で、国民投票後の日本の国柄が十分に論じられることこそ要諦といえましょう。国家の将来ビジョンにおいても概ね一致しなければ、そもそも総議員の3分の2以上という幅広い合意形成は困難と思われます。 国民投票公報に、すべての判断材料が凝縮されているわけではありません。国民投票報道、国民投票広告、インターネットなど、情報の多元性が不可欠です。 (※1)国民投票は、選挙よりも熟慮を要するテーマであることから、全有権者に対して配布すべきとの主張もあります。私見ですが、国民投票公報は投票期日14日前までに配布すべきと考えます。期日前投票者に供するためだけでなく、投票期日までに少なくとも一回、週末を挟むことにより、公報を題材にした市民レベルの勉強会の開催など、議論を興す必要があるからです。 (※2)政党には、政党レベルの憲法改正案と、実際に発議された憲法改正案との異同(議論の変遷)を説明する責任があるとの指摘があります(与党案提出者)。