1.はじめに
こんにちは。今回は、「当日、投票所に行けない人は?」と題し、投票期日以外、投票所以外で投票する方法について解説します。
国民投票法制上は、あまり重要視されていない論点です。しかし、国民投票の投票権の保障は、国民主権の礎に他ならないことから、様々な規定が置かれています。
基本的なスキームは公選法に倣っています。与党案と民主党案での対立論点ではありません。
2.「投票期日・投票所・自書投票」の原則
選挙と同様、投票人は、
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ア. |
国民投票の当日(投票期日)に、 |
| イ. |
投票区内の投票所に行って、 |
| ウ. |
自ら投票しなければならない |
という原則があります。
ところが、何らかの事情があって投票期日に投票に行けない人がいます。入院、出産、冠婚葬祭、仕事上の長期出張、海外旅行など、理由はさまざまです。
投票に行けない人のために、例外措置を設けることは、憲法改正権の可及的保障という観点から非常に重要なことです。
もっとも、投票所のような厳格な投票管理(チェック)がなされえない状況の下、例外措置が緩やかに運用されると、一人の投票人に複数の投票用紙を支給してしまったり、本人になりすました投票を可能にしてしまうなど、不正投票の弊害を生んでしまいます。
そこで、国民投票法案は、ア.イ.の例外措置を、期日前投票、不在者投票と類型化し、さらに海外に在住する日本人には在外投票の制度を設け、厳格な要件・手続の下で運用することとしています。(ウ.の例外として代理投票があります)
3.期日前投票
投票人は、投票期日の14日前から前日まで、投票区の期日前投票所に行って、投票を行うことができます。従来、不在者投票といわれたものが2003年12月1日から制度化されています。
投票時間は、8時30分から20時00分までです。繰延投票はありません。
投票期日には満18歳となるものの、期日前投票をしようとする当日に満18歳を迎えていない場合には、投票できません。この場合、不在者投票扱いとなります(→4.(1))。
4.不在者投票
期日前投票に行けない人、できない人は、不在者投票を利用できます。
不在者投票は一般に、不在者投票管理者の管理する場所において、投票用紙に投票の記載をし、これを封筒に入れて不在者投票管理者に提出する方法がとられます。
具体的には、
| (1) |
期日前投票期日に満18歳を迎えない者が、住所地で投票する場合、 |
| (2) |
旅行、出張などの理由で、住所地以外(所在地)で投票する場合、 |
| (3) |
都道府県選管が指定する病院、老人ホーム、刑事施設、少年院など(指定施設)で投票する場合、 |
| (4) |
船員が、指定港のある市町村で投票する場合 |
が、通常の選挙と同様に想定されるところです(法案には盛り込まれていません)。
国政選挙で認められている制度は、国民投票にも当然妥当すると考えられます。詳細は政令(国民投票法施行令)で定められることになるでしょう(※1)。
さらに、(5)から(8)は、それぞれの不在者投票管理者に対し、記入済み投票用紙の入った封筒を提出する投票方式が採れない(困難な)、特殊な類型です。同じく詳細は政令に委ねられると思います。
(5)重度障害者等(※2)
自宅など現存する場所において、郵便等によって、市区町村選挙管理委員会に送付する方法が可能です(郵便投票)。
(6)特定国外派遣組織
自衛隊PKOなどに属する投票人は、国外にある不在者投票管理者の管理する投票を記載をする場所において、投票用紙に投票の記載をし、これを封筒に入れて不在者投票管理者に提出する方法がとられます。
(7)遠洋区域を航海する船員
不在者投票管理者の管理する場所において、総務省令で定める投票送信用紙に投票の記載をし、これを総務省令で指定する市区町村の選挙管理委員会の委員長にファクシミリ装置を用いて送信する方法がとられます(洋上投票)。
(8)南極地域観測隊員等
総務省令で定める投票送信用紙に投票の記載をし、これを総務省令で指定する市区町村の選挙管理委員会の委員長にファクシミリ装置を用いて送信する方法がとられます。
(6)と(8)は、2006年6月の公選法改正において創設されました(※3)。
国民投票法案(両案)の修正においても検討されることと思います。
5.在外投票
海外にいる日本人は、在外投票を行うことができます(※4)。
在外投票を行うためには、在外投票人名簿に登録されている必要があります(国内の住民基本台帳に相当するものがありません)。
国民投票の期日前50日前に在外選挙人名簿(永久名簿として市区町村が調製します)にすでに登録されていれば問題ありませんが(在外投票人名簿に職権登録されます)、そうでなければ在外公館を通じて、最終住所地の市区町村に対し登録申請しなければなりません。
申請者が被登録資格を有する場合には、最終住所地(又は本籍地)の市区町村は在外投票人名簿に登録し、在外投票人証を交付します。誤登録防止のため、戸籍の附票によって確認が行われます。
在外投票の方法として、(1)在外公館投票、(2)郵便投票、(3)帰国投票が認められます。国政選挙と同様、(1)と(2)は選択制です。(3)帰国投票の場合、当日投票だけでなく、期日前投票と不在者投票も認められます。
(※1) 一般的な不在者投票は、国政選挙と地方選挙で可能です。公選法49条1項、公選法施行令50条・51条を参照。
(※2) 身体障害者(身体障害者福祉法4条)、戦傷病者(戦傷病者特別援護法2条1項)及び要介護度5の者(介護保険法7条3項)を指します。
(※3) 公職選挙法の一部を改正する法律案(第164回通常国会鳩山邦夫君外4名提出・衆法33号)は、2006年6月2日に提出、同16日に参議院で可決、成立しました。同23日に公布されています。
(※4) 2005年9月の衆院選挙では、82,753名が登録し、21,366名が投票しています(投票率25.8%)。
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